【哀悼】君は色を見せなかった ~三浦春馬さんの訃報に寄せて~

 

俳優の三浦春馬さんが昨日亡くなった。

享年30歳。

本当に驚いた。

 

自死とのことなのでーー

彼が辿った最期の瞬間の様子を想像すると、切なくて苦しくなる。

 

特に大ファンだったわけではないけど、

誠実そうな若者で、真面目に仕事に向き合う青年というイメージだった。

 

 

1つだけ、彼のことで

今でも強く印象に残っているエピソード的なものがある。

 

 

 

 

 

彼が『僕のいた時間』という

ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の役を主演したドラマがあって、

おそらくその番宣も兼ねてTVに出ていた。

2014年のドラマだから、今から6年前のこと。

 

その番組は、あの『笑っていいとも』のテレフォンショッキング。

毎日、ゲストが司会のタモリさんとトークするコーナー。

 

そこでタモリさんにドラマのことを聞かれた三浦さん。

タモさんは「どんなドラマなの?大変だった?」

みたいな感じで軽く聞いた質問だった。

 

それに対して三浦さんは、

私も詳細には内容を覚えてないんだけど

とても真面目に熱心に、

ALSという病気がいかに難病であるか、

その患者さんがいかに苦しんでいるのか、

といったことを、結構時間をかけて真剣に話した。

 

 

お昼のバラエティで、お客さんも入っている生放送で、

恐らくタモリさんは、そこまでの返答を求めていなかったし、

観客も期待していなかったと思う。

 

でも彼は大真面目に、その病気について語った。

 

そして、それまで明るかったスタジオの空気が

一瞬止まって、一瞬凍った。

 

少し放送事故っぽい感じになった。

 

 

 

恐らく他の俳優さんだったら、

もっと明るく軽く返していたんだろう。

 

「いや~大変でしたね~。

患者さんも苦しんでおられるし、

大変な病気なんですよね」

 

さらっと言えば良かったのだし、

みんなそういうもんだと思ってた。

 

 

でも三浦さんは違った。

 

この話は決して明るく軽やかにするものじゃないと

意識して、そう話したように思えた。

 

 

 

 

 

 

 

最近、よく言う

「空気を読まない」

 

まさに、彼がそれだったように思う。

 

でも、それは読めないんじゃなくて、

読まない、だった。

 

たとえ、お昼のバラエティだったとしても、

これは笑って話すべき内容じゃないと、

 

空気を壊すことを分かってて、彼はあえてそうしたように思った。

 

 

それで思った。

この人きっと、生きていくのに苦労が多いんだろうなって。

 

 

特に芸能界なんていう場所では、

彼の生真面目さや真摯さは、

諸刃の剣となって、自分に突き刺さってくる。

 

自分の中では普通のことでも、

今の世の中や、芸能界という場では

浮き上がった異質のものとして扱われる。

 

あのTVだけじゃない。

そんなようなこと、

多々あったんじゃないだろうかーー。

 

 

そして、徐々に本当の自分を引っ込めていく。

 

そんなことを何度も繰り返しているうちに、

結局どれが本当の自分なのか、

自分がどうありたいのかさえ、

よく分からなくなってしまうのだ。

 

 

 

 

 

 

でも人生って、どんなにつらい状況でも

それがずっと続くわけではないからね。

 

 

苦しみの渦中にいる時は、

この苦しみが一生続くものなんだと錯覚してしまうけど、

 

 

どんなことも流れて過ぎていく。

 

 

だから、その渦中にいる時ほど、

広い視野や視点が必要なんだろうけど、

 

苦しんでいる時には、そんな自分にもなりようがない。

 

 

だから誰かが助けてあげてほしい。

気付いてほしいし

支えてあげてほしい。

 

 

 

 

昔観た『ありふれた奇跡』というドラマを思い出した。

山田太一さん脚本の、素敵なドラマだった。

 

自殺志願の男性を助けたことから出会った3人が、

過去に自殺未遂をしたことがあるという共通点を持っていて、

そんな過去を乗り越えながら再生していくーー

というお話。

 

 

そのドラマの中であった台詞、

 

「みんな似たような悩みを抱えているはずなのに、

どうしてそれを分かり合えないんだろう。

 

あの風船のように、心の悩みが色をつけて見えたらいいのに。

そしたら、同じような悩みを持つ人が沢山いるって、

自分一人じゃないって、分かるのに。」

 

 

そんな台詞だった。

 

もう随分前のドラマなのに、今でも覚えている。

 

 

人の抱える闇の色は、外見からは見えない。

 

三浦さんの色も、全く見えなかった。

 

それが哀しい。

 

 

 

 

 

 

魂は永遠だから、

きっと今頃、彼の魂は、軽やかに

私たちの頭上を舞っているね。

 

 

 

30年ーー

大変でしたね。

おつかれさまでした。

 

 

またどこかで。

 

君の不器用な生真面目さが好きだった。

 

 

 

 

 

 

 

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 しめいの開運日誌

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupéry、1900年6月29日 - 1944年7月31日)は、フランスの作家、操縦士。代表作「星の王子様」。