ろう者の両親のもとに生まれた青年の成長を描いた映画
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』。
耳の聞こえない家族の中で育つとはどういうことなのか。
観ながら色々と考えさせられる作品でした。
今回は、この映画を観て感じたことをまとめてみます。



では行ってみよう~!
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』あらすじ
耳の聞こえない両親のもとに生まれた大は、
家族と社会をつなぐ存在として育ってきた。
成長するにつれ、
自分の人生と家族への思いのあいだで揺れ動く。
ふたつの世界のはざまで生きる彼が見つめ直す、
家族と自分の未来の物語。
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の評価|面白い?つまらない?
※ここから先はネタバレなしで読めます。
私の評価は4.2点です。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』感想(ネタバレなし)
この映画、ろう者の両親のもとで育った五十嵐大さんの
自伝的エッセイを原作にしたヒューマンドラマだそうです。
それを知らずに観たので、
最後、あ、そうか~となりました。
とても良かったですね。
こういう映画って、「かわいそう」な表現が過ぎると、
逆に視聴者がついていけなくなる気がするんですが、
この映画にはそういう部分がわりと少なく、
むしろ障害を持っている方々も、
健常者と同じように暮らし、楽しみ、悩む。
同じように生きていて、
でも、ろう者ならではの苦しみも描いている。
それがあまり悲愴な描き方にはなっていなくて、
そこがとても良かった。
観ていて、鑑賞中にいろいろな想いが心に渦巻いてくる、
でも見終わった後の後味のいい作品です。
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』感想(ネタバレあり)
子役がそっくりで驚いた
まず、地味にこの映画に感心したのが、
吉沢亮さんの子供時代の
子役のキャスティング。


相当、子役探しに力を入れたんだな…(笑)
って思いながら観てました。
どの子もみんな目がくりくりで、
まさに吉沢亮の子供時代はこんなだったろうなと
思わされます。
たまに全く似てない子供を使ってる作品とかあるので、
そこに関してはこの作品は違和感を持つこともなく
自然な時間経過として楽しめました。
特に、小学生時代かな、
友人に
「お前の母ちゃん、喋り方へんじゃね?」
と言われた時の子役の子。
あの子はとても良かったです。
しかし、子供ってああいうこと、そのままストレートに言うよなぁ~
残酷だけど、悪気はないんだよな~

素朴な疑問、なんだろうなと思う。
まだ生きた年数が少ない中で、
出会ったことのないタイプの人を見て

っていうのは当然。
大人は、長く生きてきた中で、
~そういう人も世の中にはいる~ ってことを知っている。
ただそれだけの違いなんだよね、
って観ながら思ってました。
CODA(コーダ)とは
この主人公のような
「耳の聞こえない両親を持つ、耳の聞こえる子供」
のことを
コーダ(CODA)
と呼ぶそうで、
それをテーマにした映画も何年か前に話題になりましたよね。
2022年のアカデミー作品賞受賞。
『コーダ あいのうた』
配信をメインとする作品では初のアカデミー賞受賞となり、
当時はかなり話題になったそう。
私も観ました。
いい映画でした。
こういうろう者の両親を持つ、聞こえる子供を主人公とした作品、
初めて観た気がします。
この『ぼくが生きてる、ふたつの世界』も、
同じような立場に生きる若者を主人公にした作品なんだけど、
やはり描き方には違いがあるというか、
国による感覚の違いもあるのかな、と感じました。
それもとても面白いですよね。
『コーダ あいのうた』のほうは、
もっとドライな感じがしましたね。


ろう者の子育て
今回、観ててハッとしたのが、
ろう者の方々の子育てについてです。
そうか…。
赤ちゃんの泣き声が聞こえないんですね。
これは大変。

それに、赤ちゃんがお母さんの内職の商品を
バラまいてしまったり、何かしちゃっても
背後でされてたら気付かない。
料理だって、
お鍋が吹きこぼれてても
見てなきゃ音では気付けない。
映画の中で起きる1つ1つが、
そうか~
そうだよなぁ~
ということばかりで、
本当に大変だなあと思わされました。
映画の中では時間経過を、
子役の交代で表現してたんですが、
子役が急にぱっと次の成長した子に変わるたび、
なんかほっとしている自分がいた。
あ、あの時代の子育てを乗り切ったのね。
何事もなく無事に成長できたのね。
そう思ってる自分がいました。
そうホッとしてしまうほど、
本当に耳の聞こえない中での子育ては
危険と隣り合わせなんだなって思わされました。

大の成長
その両親に育てられていく中で
子供(大くん)も反抗期を迎えたりする。
参観日を親に知らせなかったり、
酷い言葉を吐きかけたり。
親自身が自分ではどうすることも出来ない部分を
批難してしまう。
でもこのご両親は立派だなと思いました。
最終的なところできちんと息子を信じてあげているというか。
お父さんもね、いい味出してて、
いいお父さん。
自分たちが昔、駆け落ちして東京に行った話を
大にしているとき、
もうそういう話を大に出来ると思ったってことは、
父にとって、大はきちんと成長してるんだな、って感じました。
成長って、
やっぱしっかりと反抗しないと出来ないものかもしれません。
自分が抱えている本当の思いをしっかり相手にぶつける。
「こんな家にうまれたくなかった!」

やめて~
当然、親としてはショックでしょうけど、
そんな子供の素直な想いも受け止める。
しっかりと。
それって大事だなって思わされました。
ラストシーンは泣く
ラストシーンは本当に感動しました。
これ映画館で観てたら、嗚咽してますね、きっと(笑)
当時の映画館でも、
すすり泣きの声がきっと館内に響いてたんでしょうね。
想像できる。
母親と一緒に電車から降りた時、
母親から大が言われた言葉。
今日はありがとう。
人がたくさんいるところで手話で話してくれたでしょ。
ありがとう。
お母さん、うれしかった。

あ~だめ。
書いてて泣きそう。

大は気付いてしまったんだよ。
自分が人前で母親と手話で話してこなかったことに。
それを恥ずかしがって生きてきたことに。
それを母親が淋しく思っていただろうことに。
あの時、こみ上げる大の思いの中に、
母親の笑顔の中に、
過去に自分がしてきた様々な行為や言葉があって、
そのどれもが愚かで、浅はかで、
どうしようもないほどガキだった自分が
そこにいてーー
大は綺麗な顔をぐしゃぐしゃにして泣いた。
その時のことをホームで思い出して、
東京(もう1つの世界)へと戻る電車の中で、
「ぼくが生きてる、ふたつの世界」
を書き始めるんですよね。

最後まで見て、
この映画って、ろう者とその家族を描いているけど、
それは1つの入り口で、
結局この映画は
親と子の関係を描いた普遍的な物語なのだと思いました。
ろうの方に限った話ではなく、
どこの家庭にもある問題、反抗、
そして親を思う気持ちや、子を思う気持ち。
そういうものが描かれていた気がします。
こういってはなんですが、

そんな映画です。
あ、もちろん娘も(笑)
もちろん親も(笑)
それぞれの親子関係があるように、
それぞれの人の、この映画に対する観方があると思います。
でも見終わった後、何か少し、
観た人の家族に対する思いが変わる映画のような気がしました。
主題歌もすばらしい
エンドロールで流れた主題歌もとても良かったです。
主題歌は下川恭平さんによる「letters」。
歌詞は監督の呉美保さん自身が手がけていて、
親から子へ向けた思いが綴られています。
英語の歌詞ですが、
映画の終わりに流れるエンドロールでは日本語歌詞も出て
とても良かったです。

こんな人におすすめ|映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』はこんな人に刺さる作品
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は、
・静かに心に染みるヒューマンドラマを観たい人
・ろう者の世界やCODA(コーダ)に興味がある人
には特におすすめです。
逆に、
・テンポの良いエンタメ作品を求める人
には合わないかもしれません。
映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の関連商品|原作小説・DVD
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2025年日本映画批評家対象の作品賞を受賞したようです。
吉沢亮さんは最優秀主演男優賞。
忍足 亜希子さんは助演女優賞を受賞。


若い時代から50代まで演じてたもんね。

パスタを口に入れて、頬がふくらむとこ。

映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』作品情報
監督 :呉美保
脚本 :港岳彦
出演 :吉沢亮、忍足亜希子、今井彰人
上映時間:105分
ジャンル:ヒューマンドラマ
まとめ|映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は観る価値ある?
耳の聞こえない両親と、
その中で親を支えながら育った耳の聞こえる子供。
この映画は、
ろう者の家族という少し特別な環境を描きながら、
結局は親と子の関係や、
家族のあり方を静かに描いた物語だったように思います。
ろうの方々の子育ての大変さと、
その親の元で育つ子供の葛藤、
しっかりと映画の中に描かれていました。
そして、それぞれの家庭にそれぞれの親子関係があると思いますが、
観終わったあと、少しだけ自分の家族との関係を見直してみたくなる、
そんな映画でもありました。



今回も読んでいただいて本当にありがとうございました(*^^*)
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