映画『パラサイト 半地下の家族』感想|喜劇はどこで悲劇に変わったのか

映画 パラサイト 半地下の家族 ネタバレあり感想レビュー

映画『パラサイト 半地下の家族』は、
半地下で暮らす一家が裕福な家庭に少しずつ入り込んでいく
韓国発のブラックコメディです。


前半はどこか痛快なのに、ある出来事を境に空気が一変し、
気づけば人間の欲望や尊厳を突きつけられる物語になっていきます。


面白い、けど、怖い、
観終わったあとに何か考えさせられる、そんな一本でした。

 

 

カンヌ国際映画祭 パルムドール賞
アカデミー賞 最優秀作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞

 

映画『パラサイト 半地下の家族』|あらすじ

  

半地下で暮らすキム一家は、みんな失業中。
だが、長男ギウがIT企業CEOの豪邸で家庭教師に採用されてから
家族の運命が大きく変わり始める。

 

 

映画『パラサイト 半地下の家族』|私の評価

 

★★★★★
★★★★★

(4.0 / 5点)

 

私の評価は4.0点です。

 

 

しめい
よく出来た作品です。

 

 

 

映画『パラサイト 半地下の家族』|まずは予告をチェック

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画『パラサイト 半地下の家族』|感想(ネタバレあり)

 

いや~面白かったです。
ストーリー展開が早くて上手くて、さすがのポン・ジュノ作品です。

 

ポン・ジュノ監督の映画を観るのはこれで3作目で、
『殺人の追憶』、『母なる証明』、

そしてこの『パラサイト 半地下の家族』。

 

どの作品にも共通して思ったのは、やはりこの監督は
サスペンスの語り口・表現技法に長けた監督さんだなぁということ。

 

なんてことないシーンでも、その撮り方・語り口によって、
怖くなったり意味深になったりする。

そういうのがとってもお上手!な監督さんだと思う。

 

でも今回のこの『パラサイト 半地下の家族』は、それに加えてコメディ要素も含まれていて、
十分なエンタメ作品に仕上がっていたと思います。

 

 

 

 

 

 

あの石の持つ意味とは?

 

るお金持ちの一家の豪邸に、
半地下に暮らす貧乏一家が徐々に寄生していって…

 

というストーリーなんですが、

ま、途中までは結構この半地下家族が
豪邸で勝手にひどい事をしていってるにも関わらず、

おもしろおかしく話が進み、

こちらもわりと何故か共感して観ていけちゃいます。
(いやしかし、結構悪どいことをやってるんです!この家族 )

 

が、途中、その豪邸に以前いたお手伝いさんがやってきて~
からは話は一気に加速していき、

振り返ってみると、その翌日におきる出来事までで映画はほぼ終わるーー
あとは起承転結の結の部分のみ、という映画構成。

 

盛りだくさんのラスト2日間です(笑)

 

映画に象徴として出てくる大きな飾り物の「石」がありまして、
それがいったい何を表現しているのか、
私もよく分からないままで、観終わった後で
いろんな方のレビューを見てしまいました。

 

さまざまな意見がありましたが、
私はあの石は、主人公の半地下一家の長男ギウくんの(加えて家族全員の)
『望み・欲望』みたいなものの
象徴なのかなと思いました。

 

その石が彼の友人からもたらされてから、
家族の運命の歯車がおかしな方向に回り始めます。

 

そして終盤で、その欲望の塊(石)にガツンと頭を殴られて、
ギウくんは目を覚まします。

 

(自分は何かおかしな夢でも見てたんじゃないかな…)

 

ラストシーンで、決して届くはずのない手紙を、父親に書くギウくん。

そこには、夢から目を覚ましたギウくんの
哀しくも新たな願いが書かれています。

自分がお金持ちになって、あの豪邸を買い取るという夢。

 

その哀しい願いは、現在の韓国社会ではほぼ実現不可能である、
だから「哀しい」願いだと受け取る方が多いのだろうと思います。

 

でも私はそうは受け取りませんでした。

たしか主演のソン・ガンホさんもインタビューでこんな風に話されてました。

 

「それでも人生は続いていく」
「私たちが最も幸せになれる喜劇や悲劇があったとしても、
 それでも人生は続いていくんだと、この映画を通して感じてほしい。」

 

最後に、ギウくんはその石を手放すんですが(そのシーンは恐らく彼の妄想)

今度は自分の中で作り上げた自分だけの新しい願い(新しい石)をもって、
これからの人生を歩んでいく。

 

それは、ある人にとっては、
「実現不可能」と思えるものかもしれないし、

でも違う人にとっては、
「難しいが、やれば出来るかもしれない」
と思えるものかもしれません。


それをどう捉えるかはその人次第で、
どちらを取るかもその人次第。

 

ギウくんが最後に描いた夢は、
本当に実現不可能な哀しいだけの夢だったのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

なぜ悲劇は起きたのか?

 

私がこの映画でもっともズッシリときたのは、
人間って、お金がなくても学歴なくても、
それなりに我慢して
楽しくやっていけるんですよね。

実際あの半地下家族も途中まではそれなりに幸福そうでした。

 

だけど、
人間がもっとも傷つき、怒り、貶められるのはーー、
やっぱり、

 

人としての尊厳を踏みにじられたときーー

 

なんじゃないかな~と思ったんですよね。

 

あの半地下家族のお父さんが、
なぜ金持ちご主人を刺したのか。

 

それは、人間としての尊厳(プライド)が
踏みにじられたからじゃないですか?

 

あの豪邸のリビングのテーブルの下に家族と隠れていたとき、
金持ちご主人が言いますよね。

 

「あの運転手、臭い🤮」 

 

たぶん、自分だけが聞いていたら、
そこまで傷つかなかったかもしれない。

でも、家族の前で、子供の前で言われたら?

それは言葉にはならないほど傷ついたし、
言ったご主人を憎んだと思います。

 

加えて、自分と同じ臭いがしている、と言われていた家族のことも
同時に汚されたような気持になったでしょうーー。

 

 

 

 

 

 

人間の哀しい性(さが)

 

この哀しい物語の分岐点はどこだったんでしょうか?

少なくとも途中までは、たとえ犯罪まがいなことをしていても
それなりに楽しく私たちも観ていたお話だったのに。

 

たぶん、あの二人の地下夫婦が登場したとき、
それを発見した半地下家族は、彼らを見下しましたよね。

自分たちが上に立った、と。

私はあそこが物語の大きな分岐点だったように思うんです。

 

そして私たちがこの現在の資本主義社会で、
幸福な社会をいまだに作り出せていないのも

そこにヒントがあるような気がするんです。

 

自分たちよりも下層の人達を見つけたとき、出会ったとき、
分け合うよりも分断するほうへと思考が働いてしまう。

手を差し伸べたら、今度は自分がそこへ引きずり込まれてしまう。
助けた人間に取って変わられてしまう。

 

そういう「恐怖心」がおそらく誰の心にも潜んでいる。

 

もしあの時、あの地下夫婦の願い通りに、
地下に住む夫に、時々ご飯を差し入れしてあげていたらどうなっただろう。

誰も何も失わず、みんなが何かを得て、
それぞれの幸せを手に入れていたのでは?

そういうアナザーストーリーもあったんじゃないかって。


でも何故そのストーリーへと向かっていけなかったのか。

 

この映画を観た私たちは、
そこを考えてみる必要があるのかなって。

 

ただ、今の韓国社会が悪い、資本主義が悪い、と
闇雲に唱えているだけでは、
何も変わらない気がします。 

 

 

 

 

 

 

まとめ|映画『パラサイト 半地下の家族』は観る価値ある?

 

『パラサイト 半地下の家族』は、
韓国の格差社会を描いた映画として語られることが多いですが、

私にはそれだけの作品には思えませんでした。

 

欲望に突き動かされる人間の姿、傷つけられた尊厳、
そして自分より下にいる誰かを見つけたときに生まれる優越感や分断――。

 

この映画が突きつけてくるのは、
むしろそうした人間の弱さそのものだったように思います。

 

喜劇のように始まった物語が、どこで悲劇へと分岐したのか。

その境目を考えていくと、ラストのギウの願いもまた、
ただ哀しいだけのものには見えなくなってきます。

 

観終わったあと、すぐに答えが出る映画ではありません。

でもだからこそ、自分ならあの場面をどう選んだだろう――と、
しばらく心に残り続ける作品でした。

 

 

しめい
エンタメでありながら社会性もある、
受賞にふさわしい作品でした!

 

 

 

気になった方はこちらをチェックしてみてください👇

 

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パラサイト 半地下の家族 (字幕版)

 

 

 

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アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupéry、1900年6月29日 - 1944年7月31日)は、フランスの作家、操縦士。代表作「星の王子様」。